ビスクドール作家への道

ビスクドールってどうやってつくるの?どうしたら人形作家になれるの?
皆さんは、ギモンだらけでしょうね?
私も最初は素人。このページでは2007年から2010年までかけて、最初のビスクドールを制作したプロセスをご紹介します。
私の体験を通して、ビスクドール作家というものを理解していただければ幸いです。

1.設計図作り

最初の作業は設計図作り。ドールのサイズや太さなどを最初に決めます。

2.原型作り

設計図をもとに原型作りです。

まずは人形の命のお顔作り。お顔は球のカタチの発泡スチロールに油土を重ねて作ります。油土(ゆど)とは彫刻・粘土細工の粘土で放置しても硬くならないのが特徴です。

初めてお顔を6時間掛けて制作し出来上がったときに、「ワーッ!出来たァ!」と自信を持って主人に見せると、「大仏様みたい!」といわれました。この恨みは一生忘れません!(笑)

そ の後、お顔は眼を入れる工程があります。そのため、油土製のお顔の石膏型を作ります。お顔に石膏を盛り半面づつ型取りして、卵形の石膏型が出来上がりま す。石膏型ができたらその内側に粘土を均等に5ミリくらいの厚さで盛ります。2つの石膏型に粘土を内側に盛ったら、それらを重ね合わせ1~2日間乾燥させ ます。乾燥後取り出すと、お顔の原型の出来上がりとなります。

この原型完成までに半年掛かりました。2種類の顔を作り、この時に頭部を切開して仮のビー玉の眼を入れた時に、とてもうれしかったことを思い出します。

3.各パーツの制作

一 方、お顔以外のパーツは「身体」⇒「脚」⇒「腕」⇒「手先」の順で制作します。ボディはお顔よりも1工程少なく、直接、直方体の発泡スチロールをカッター で大まかにボディの形に加工したものの上に粘土を重ねます。なぜ発砲スチロールかというと、全身を粘土で作ると重くなるからです。ちなみに手足の芯は割り 箸です。

写真のようにいったんつなげた状態でバランスを見ます。

実際に制作してみると身体や手先がとても難しいことが分かりました。毎日、人形のお顔は見ていますが、身体は見ていないので、この頃、自分の裸を鏡でマジマジと見て研究しました。(笑)

4.関節となる球の埋め込み

創作球体人形というだけあって、全部で14関節が動くので、いったん完成した原型を切断して切断面を加工し関節となる球を埋め込みます。球はホームセンターで木製のものを購入しています。関節は14パーツに分かれます。

苦戦したこと:アイホールを空けるときに眼を陥没させてしまい、作り直したこと。完成したお顔にビー玉を入れる作業中に、彫刻刀で球を埋め込む穴を開けていた時に指を刺してしまい大出血!痛かったなあ・・・!高価な彫刻刀の歯が欠けてしまい、新しいものを購入する羽目に。

5.モールド作り

次はモールド作り。モールドというのは石膏型のことですが、お顔作りの工程で一時的に作ったものとは異なり、今度は最終形です。各原型のパーツに中心線を引き、半面ごとに石膏型を作ります。この石膏型のことをモールドといいます。

こ こまでが長かったなぁと実感しています。やっとここまできましたが根性と根気でコツコツ進めていくことが大切ですね!!私のドールはふっくらとした少女体 型にしました。特にオナカまわりやオシリの大きなドールを作っていたので、モールドが出来上がったときは、それが大きいので驚きました。モールドは石膏な ので、大きくなるとすぐに1キロくらいになり、運ぶことがタイヘンでした。人形作家への道は体 力勝負と実感しました。とにかくモールド完成!

モールドは別にモールドづくりの職人さんが いるくらい、高度な作業です。私もがんばって制作しましたがスリップ(液状粘土)を流し込み、型から抜く際、常に抜けにくいパーツが何個か出てきました。 いろいろな条件が重なり、抜ける程度が変わってくるのだと分かりました。この課題を次のモールド制作に役立てたいと思っています。

6.型取り

各モールドができたらスリップ(液状粘土)を流し込みます。時間をおいて、中のスリップを排泥します。モールドから取り出した物をグリーンウェアといいます。グリーンウェアを1週間乾燥させます。その後、715度で素焼きします。

原型が比較的大きい子を作ったので、お尻のモールドは重さ1㎏もあったため、排泥する時は片手で持ち上げて必死に作業しました。あ~スリムな子にすれば良かった!

7.磨き作業

磨き作業が始まります。素焼きしたパーツを水中で磨きます。その後、乾燥させ、さらに磨きます。この時が最終造形なので、手足の爪や顔のシワまで細部まで念入りに磨きます。

そして1230度から1300度で本焼き。本焼き後、着色しやすいように、さらにざらつきを落とすために、軽く磨きます。

水中磨きはよく宿題で持って帰りました。家でテレビを見ながらも、もくもくとやりました。まだ水が冷たい季節だったので、少し湯を足して大きなバスタオルを敷いて取り組みました。一度に4体も制作したため、60パーツ以上も磨きました。

早期完成を目指し、テンション満開です!

8.着色

1回目:肌のベースの色を着色して、窯に入れ713度で焼きます。

2回目:肌の表情の色を着色。

3回目:お顔の着色です。眉やまつ毛、リップ、アイライン等を入れます。メークに深みを出す時は、その後、着色するたびに窯に入れ713度で焼き上げます。

メイクには凝りました。以前に少し舞台メイクのお手伝いをしていた経験があるので、眉毛のバランスやアイメイク、口紅の色の深さにこだわりました。おかげで思った以上に、お顔が良い仕上がりになりました。

9.グライスアイの装着

すべて焼きあがった後、頭部にグラスアイを入れ、内部処理をします。

10.各パーツの合体

各パーツを合体させる前に、関節の受け部分の強化のために革を貼ります。

そ の後、各パーツをゴム紐でつなぎ合体させます。これで身体は完成です。私は2月生まれなので、2月中に一体完成させましょうという知姫先生の厚意に恐縮し ました。各パーツをつなげて、ドールが自立した時のうれしさは一生忘れません。つなぐ時もドキドキの作業で、失敗すると割れる危険性もあり、どこまでも気 の抜けない作業を重ねて、この喜びに到達するのですね。同時に4体制作していたのですが、一体完成するごとにうれしくて涙ぐんでいました。

これで、やっと人形本体の出来上がりです。でもまだ髪の毛もなく、お洋服も着ていません。

髪の毛は、既製のものを使う場合と手作りをする場合があります。

衣装もたいへんです。人形を演出する上で最も大切な作業です。心を込めて縫い上げます。どんどん形になっていく喜びに感謝しました。

洋服は型紙を起こし生地を裁断して作る場合と、人形の洋服を専門に作っていらっしゃる方に依頼する方法と、本物のアンティークドールの衣装を使用する場合等があります。

11.Mikodoll誕生

ようやくMikodollが完成!いかがでしたか。ビスクドールが完成するまでには、こんなに気の遠くなるような複雑な工程があるのです。

そして、さらに高い技術レベルを目指し、2014年から浦野由美先生に師事しています。

浦野先生は日本でも有数の人形作家で、銀座で毎年個展を開かれています。ビスクドール教室も開いておられます。

浦野由美先生のホームページ「幻想の庭」

そして、この子が浦野先生に習ってから、はじめて完成したMikodollです。ヨーロッパの6~9歳くらいの女の子。身長24.5cm。しっかり自立します。

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これから、この子に衣装等のいろんなバリエーションをつけて、Gallery Miko-Nonno ネットショップ で販売していきますので、楽しみにしてくださいね。

長い文章にお付き合いいただきありがとうございます。最後に、「人形作家は1日にして成らず。」ファイト、オ~!